【土壌分析】溶出試験と含有試験の違いについて 含有試験 その2
前回は溶出試験に続き、含有試験の考え方や目的について解説しました。今回は分析までに実際にどのような操作を行うのか紹介します。
土壌含有試験を定めた法令・規格
土壌の含有試験を定めた法令・規格は複数存在します。土壌環境基準、土壌汚染対策法、底質調査法、肥料等試験法、などが主だったものです。それぞれ目的や基準が異なるため、それらに合わせて分析や前処理の方法も変わってきます。今回は弊社で取り扱う案件にて実施することが多い、土壌汚染対策法(土対法)の含有試験について取り上げます。
土対法の含有試験は、H15年 環境省告示第19号(環告19号)にて規定されています。環告19号の含有試験では、「対象土壌が誤って人体へ取り込まれた場合に、人体へ悪影響を及ぼすリスク」を前提とした基準値を規定しています。そのため、前処理では人間の胃酸に近い酸濃度の溶液を用いて溶媒抽出を行います。(人間の胃の中に近い状況を再現することで、より実際に及ぼす影響に近い数値を測定することを目的としています。)
土壌含有試験の手順
専門的な条件を省略し簡略的に説明しますと、概ね以下のような手順となります。
- 採取した検体を風乾し、水分を飛ばす
- 検体から小石や木片等を取り除き、2mm目のふるいを通過させる
- 検体と溶媒(1mol/Lの塩酸)を重量体積比3%の割合で同じ容器に入れ、試料液を作成する
- 試料液の入った容器を常温常圧で2時間、連続して水平に振とうする
- 振とう後、混ざった試料液をろ過し、検液とする
- 作成した検液を、各項目の分析方法にて分析する
①~②は土壌の溶出試験と同様の手順となります。③~⑤が溶媒抽出操作、⑥が実際の分析となります。前回説明しましたように、土壌そのものを分析機器にかけることが難しいため、溶媒抽出を実施し、液体の検液を分析することになります。
土対法の含有試験では、重金属系の9項目が規定されていますが、このうちの一部項目については③~⑤の操作にて精度よく対象物質を抽出できないため、より適当な方法を用いて溶媒抽出を行います。
以上のように含有試験では、土壌から対象物質を溶媒抽出した検液を実際に分析し、土壌そのものに含まれている物質量(に近い数値)を測定します。
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