土壌分析方法(採取方法・分析方法)について

土壌の分析は、土壌採取(サンプリング)から始まり、検体である土壌を適切に前処理し、規定の方法に則って分析を実施します。
ここでは土壌分析方法について、採取(サンプリング)や検体の分析方法など解説します。

 

土壌の採取(サンプリング)について

土壌の基本的なサンプリング方法については以下の動画にて説明をしております。

弊社でよくご依頼いただく環境分析では多くの場合、土壌汚染対策法(土対法)規定の方法にて土壌を採取します。その方法は以下のようになります。

  1. 土壌の上に砂利やコンクリートがある場合、それらを取り除き、土壌を表出させる。
  2. 土壌表層から50cmまで掘る。
  3. 表層~5cmまでの土壌(上層土)と、5cm~50cmまでの土壌(下層土)を別々に密封可能な容器に採取する。
  4. 複数の採取点がある場合は、①~③を繰り返し、各点の検体を採取する。
  5. こちらから土壌分析をご依頼ください。土壌分析の価格・料金はこちら
  6. 採取した検体を梱包し、弊社まで発送する。

届いた検体は上層土・下層土を弊社にて等量に混合し、1検体として分析します。

土壌分析の種類と検査項目

土壌分析にはさまざまな方法があり、その目的によって適切な方法が異なります。土壌分析の種類について以下に解説します。

環境分析

環境を診断する土壌分析では、法令に定められた有害物質について、法令で定められた方法で分析を実施します。
環境への悪影響や汚染に関わる内容が多いため、このように呼称されます。土壌の分析において公定法として用いられることも多々あります。
有害物質の有無や、周辺環境へどの程度影響を及ぼす可能性があるかを判断する指標となるため、その土地の安全性の確認に適しています。

法令に伴い実施する必要がある場合のほか、最近では不動産売買時の土地の状態確認や、家庭菜園を始める前の安全性の確認などでも実施することがあります。

【主な分析項目】

・第一種特定有害物質…有機塩素化合物(VOC)類の有害物質

1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、1,3-ジクロロプロペン など

・第二種特定有害物質…重金属類の有害物質

 カドミウム、六価クロム、水銀、セレン、鉛、砒素、ふっ素、ほう素 など

・第三種特定有害物質…農薬系の有害物質

ポリ塩化ビフェニル(PCB)、有機燐化合物 など

土壌診断

土壌診断では、水田や畑の作土・土壌に含まれる栄養素や成分を分析します。水田にて水稲を育成する・畑にて作物を栽培するといった場合や、病害虫の防除をする場合、その土地にどれだけの栄養素が含まれているか把握することが重要です。
また、農業などで堆肥を施肥して地力を上げたり土地改良したりする場合、どのような養分がどれだけ必要か知らないと十分な効果が見込めません。これらの土地の作物育成スペックを知るために実施する分析が土壌診断となります。また化学肥料などについての成分分析もこちらに該当します。

【主な分析項目】

・一般項目

水素イオン濃度(pH)※酸性・アルカリ性の判定、電気伝導率(EC)、陽イオン交換容量(CEC)、可給態リン酸、腐植、石灰、苦土、加里、塩基飽和度 など

・窒素項目

硝酸態窒素、亜硝酸態窒素、アンモニア態窒素、無機態窒素 など

・微量要素項目

鉄、マンガン、ほう素、可溶性亜鉛、可溶性銅、カルシウム、マグネシウム など

上記の分析のうち、弊社は環境分析を最も得意としております。
土壌診断に係る項目も分析可能ですが、診断書等の作成や判定は行っておりません。
目的が土壌診断である場合、土壌診断を得意とした他社での実施を検討する方がよいかもしれません。

土壌分析の流れ

実際の土壌分析の流れについて紹介します。
※以下の内容は、弊社でご依頼の多い土壌汚染対策法の溶出試験・含有試験のものとなります。

1. 風乾

届いた検体はまず大きな土塊などは必要に応じて細かく砕くなどして、均一に広げて常温にて風乾(自然乾燥)します。
水分を少なくすることでより真値に近い結果を得られます。ただし有機塩素化合物(VOC)項目の検体は風乾をせずに検液作成をします。

風乾後、大めの砂や木くず・根っこなどを取り除き、2mmのふるいを通し分析検体とします。

必要であればこれらの過程後、上層と下層の検体をそれぞれ秤量し、重量が等しくなるよう混和し、等量混合検体とします。

2. 検液作成

分析検体と水溶液を一定比率で容器に入れ、規定時間の間、振とう機で混和します。
溶液と比率、振とう時間は溶出試験と含有試験で異なり、以下のようになります。

・溶出試験(結果の単位がmg/Lの項目)

溶液:水、重量体積比:10%、振とう時間:6時間

・含有試験(結果の単位がmg/kgの項目)

溶液:塩酸溶液、重量体積比:3%、振とう時間:2時間

振とう完了後、遠心分離機にて懸濁物や沈殿物と上澄み液に分けます。更に規定のろ紙にて上澄み液をろ過し、分析検液とします。

3. 機器分析

分析検液を各種分析機器にかけて、各項目の数値をみていきます。
分析項目によって機器にかける前に、加熱煮沸、蒸留抽出、溶解、試薬添加、指示薬滴下、希釈・濃縮などの濃度調整、など必要な前処理を実施します。

・第一種=揮発性有機化合物(VOC)項目

全て揮発しやすい物質のため、主にGC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析器)という気体を測定する機器で分析します。検液を気化させて機器に通します。

・第二種=重金属類項目

主にICP(発光分光分析装置)や原子吸光装置にて分析をします。
元素ごとに一定の波長や光を出したり吸収したりする特性を利用し数値を定量していきます。
正確な検量線を構築したり、硝酸や硫酸などの前処理溶液を分析項目ごとに使い分けたりなど、単純に機器を操作する以外の作業も多い分析です。

・第三種=農薬系項目

ECD(電子捕獲検出器)やFPD(炎光光度検出器)など各項目に対応した検出機器にて分析をします。
機器にかけるまでの抽出や分解などの前処理が複雑なものが多く、分析に必要な時間が長いことが特徴です。
また基準値が低い項目が多く、必要な検液全量が多量になるため、第三種の項目を含む分析を実施する場合は、必要検体量が多くなる傾向にあります。

4. 法令準拠報告書の作成

全ての項目の分析が完了すると、その結果を基に報告書が作成されます。
速報としてお知らせしたものをご確認いただいた後、最終的に計量士の数値確認・押印を経て、正式な原本発行となります。
報告書は請求書などの関係書類とまとめて、指定の住所まで郵送します。

土壌分析のへ

土壌分析の方法に興味をお持ちの方へ

弊社は分析会社ですので、分析に使用する大型の分析機器が多数存在します。
しかし珍しい機器ばかりではなく、フラスコやメスシリンダー、ピペットなど、かつて学校の理科室で一度は触ったことのある機器がたくさんあります。

また試薬も数多くありますが、こちらも硫酸アンモニウムや塩化カリウムといった馴染みのないものばかりではなく、酢酸や塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、フェノールフタレイン溶液など、遠い昔に学校で扱ったことがあるかもしれない試薬もたくさん使います。

もし理科の授業の実験が好きだったという方であれば、弊社のような分析会社にお越しいただくと、懐かしい気持ちになるかもしれませんね。