【土壌分析】PFAS(ピーファス)とは?その種類と詳細を解説

少し前からPFASについての話題がよく取り上げられるようになりました。今回はこのPFASについて、どんなものなのかを中心にみていきたいと思います。

PFAS(ピーファス)とは

PFASとは有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物を総称したものです
。ダイオキシン類やアスベストのように、単一の物質を指すものではなく、多くの物質群の総称となります。分類の仕方にもよりますが、PFASは1万種類以上の物質があるとされています。

いずれも強く安定した炭素-フッ素結合を持ち、加水分解や光分解、微生物分解及び代謝などに耐性があります。ものによっては撥水・撥油性があったり、熱・化学的安定性があったりと、利便性の高さが特徴です。そのため2000年代初頭まで、多くの製品・加工に使用されてきました。代表例は以下のようになります。

  • 溶剤、界面活性剤
  • 繊維、革、紙、プラスチック等の表面処理剤
  • 潤滑剤、泡消火薬剤
  • 半導体原料、フッ素ポリマー加工助剤  など

PFOS(ピーフォス)・PFOA(ピーフォア)とは

PFASと一緒によく耳にするのがPFOSとPFOAです。PFOSとPFOAはそれぞれ、PFASの一種となります。
PFASの中でもPFOSとPFOAは特に幅広い用途で利用されており、現在の「PFAS」として取り上げられる主な代表物質となります。
場合によっては、PFAS=PFOSとPFOAの合算値と定義する場合もあります。

・PFOS:ペルフルオロオクタンスルホン酸

 …半導体用反射防止剤・レジスト(電子回路基板を製造する際に表面に塗る薬剤)、金属メッキ処理剤、泡消火薬剤 などに使用。

・PFOA:ペルフルオロオクタン酸

 …フッ素ポリマー加工助剤(他のフッ素化合物を製造する際に化学反応を促進させるために添加する薬剤)、
  界面活性剤 などに使用。

PFAS(ピーファス)の特徴と危険性について

PFASは以下のような特徴があります。

  • 難分解性:自然界で分解されにくく、長期間残留しうる
  • 高蓄積性:生物や土壌、水系に取り込まれて蓄積しやすい
  • 長距離移動性:水流や地下水などを通じて広がる可能性

PFASは分解されにくく、製造・放出されたものが何らかの形で長期間自然界に残り続ける可能性が高いとされています。それらの環境に残留したPFASは河川や地下水などを媒介に、広域に拡散する可能性があり、拡散すればするほど、人体への接種リスクが上がります。

生物への影響も確認されており、近年では環境省が主体の全国的な調査も行われています。ただ、発がん性物質であるかどうかは、国外と国内で見解が異なり、現状日本では断定的な見解が示されていません。WHOの国際がん研究機関(IARC)は、PFOAを「発がん性がある(Group 1)」、PFOSを「発がん性の可能性あり(Group 2B)」と評価しています。

上記のような環境中への残留性や健康影響への懸念から国際的に規制が進み、ストックホルム条約(POPs条約)にて廃絶等の対象物質となりました。国内でもそれに伴い、新たな製造・輸入等を原則禁止としています。

また2022年にはPFOSやPFOAの代用品であったPFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)も対象に追加されています。国内でも2024年にPFHxSを規制対象に追加しています。

POPs条約 対象追加国内規制対象化
PFOS2009年2010年
PFOA2019年2021年
PFHxS2022年2024年

PFOS(ピーフォス)・PFOA(ピーフォア)今後の規制等について

水道水における水質基準項目に「PFOS及びPFOA」が加わることが、2025年6月の改正省令にて公布されています。基準値はPFOSとPFOAの合算値で「0.00005mg/L以下」となり、2026年4月1日より施行となります。

「PFAS」ではなく「PFOS及びPFOA」とした点からは、これから有害性が認識される物質がまだPFAS内に存在する可能性が伺えます。実際、PFHxSについてはまだ知見が乏しく、要検討項目に留まっています。
今後もPFAS内の別の物質が水質基準項目に加わるかもしれません。

公共用水や地下水に関しては、暫定的な指針値として50ng/L(PFOSとPFOAの合算値)がありましたが、こちらも2025年6月の通知にて、暫定ではない指針値として「0.00005mg/L(PFOSとPFOAの合算値)」としています。
また「PFOS及びPFOA」が公共用水域と地下水の要監視項目に加わっています。今後は法令等の改正に伴い、正式な基準値等が規定される可能性は高いと思われます。
※公共用水域・地下水の暫定指針値の50ng/Lと指針値の0.00005mg/Lは同値です。

また、水処理に使用した活性炭から多量のPFOA・PFOSが検出されたなど、今まで想定していなかった事案も確認されています。
今後は産業廃棄物等についてもPFASについての検証・検討が必要になってくることが予測されます。しばらくは環境行政の動きに注意する必要があると言えるでしょう。

弊社では外注分析となりますが、PFOS・PFOA及び、PFOS・PFOAの合算値としてのPFASの分析対応が可能です。分析が必要な場合はお気軽にご相談ください。

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