土壌は私たちの生活にとって不可欠な存在であり、その質や成分は農作物の生育や環境の健康に大きな影響を与えます。このため、土壌の状態を正確に知ることは重要です。ここでは、土壌分析の目的と重要性、受託分析の種類とその特徴、そして土壌分析を受託する業者の役割について詳しく解説します。
土壌分析の目的と重要性
土壌分析の主な目的は、土壌の化学的・物理的特性を明らかにすることです。
とくに、土壌化学性分析を行うことで、土壌中の栄養素や有害物質の含有量を知ることができます。
土壌を分析することで、農業用土壌の場合、適切な肥料の施用量やタイミングを判断することが可能となります。
また、土壌汚染の有無や程度を知ることで、適切な対策を講じることができるのです。
受託分析の種類とその特徴
土壌分析にはさまざまな方法があり、その目的によって適切な方法が異なります。土壌分析の種類について以下に解説します。
環境分析
環境を診断する土壌分析(土壌汚染調査)では、法令に定められた有害物質について、法令で定められた方法で分析を実施します。
環境への悪影響や汚染に関わる内容が多いため、このように呼称されます。土壌の分析において公定法として用いられることも多々あります。
有害物質の有無や、周辺環境へどの程度影響を及ぼす可能性があるかを判断する指標となるため、その土地の安全性の確認に適しています。
法令に伴い実施する必要がある場合のほか、最近では不動産売買時の土地の状態確認や、家庭菜園を始める前の安全性の確認などでも実施することがあります。
【主な分析項目】
・第一種特定有害物質…有機塩素化合物(VOC)類の有害物質
1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、1,3-ジクロロプロペン など
・第二種特定有害物質…重金属類の有害物質
カドミウム、六価クロム、水銀、セレン、鉛、砒素、ふっ素、ほう素 など
・第三種特定有害物質…農薬系の有害物質
ポリ塩化ビフェニル(PCB)、有機燐化合物 など
土壌診断
土壌診断では、水田や畑の作土・土壌に含まれる栄養素や成分を分析します。水田にて水稲を育成する・畑にて作物を栽培するといった場合や、病害虫の防除をする場合、その土地にどれだけの栄養素が含まれているか把握することが重要です。
また、農業などで堆肥を施肥して地力を上げたり土地改良したりする場合、どのような養分がどれだけ必要か知らないと十分な効果が見込めません。これらの土地の作物育成スペックを知るために実施する分析が土壌診断となります。また化学肥料などについての成分分析もこちらに該当します。
【主な分析項目】
・一般項目
水素イオン濃度(pH)※酸性・アルカリ性の判定、電気伝導率(EC)、陽イオン交換容量(CEC)、可給態リン酸、腐植、石灰、苦土、加里、塩基飽和度 など
・窒素項目
硝酸態窒素、亜硝酸態窒素、アンモニア態窒素、無機態窒素 など
・微量要素項目
鉄、マンガン、ほう素、可溶性亜鉛、可溶性銅、カルシウム、マグネシウム など
上記の分析のうち、弊社は環境分析を最も得意としております。土壌診断に係る項目も分析可能ですが、診断書等の作成や判定は行っておりません。
土壌分析を受託する業者の役割
土壌分析を受託する業者は、高度な専門知識と技術を持つ受託業者として、正確な分析結果を提供する役割を担っています。
また、分析結果の解釈やアドバイスを提供して、依頼者が土壌の成分を理解し、適切に対策できるようサポートします。
土壌分析は、私たちの生活や環境を守るための重要な手段となっています。適切な業者を選ぶことで、より正確で信頼性の高い分析結果を得ることができるのです。
土壌分析の種類とその特徴
土壌はその成分や性質によって多様な特性を持っています。これらの特性を詳しく知るためには、さまざまな種類の土壌分析が必要となります。ここでは、土壌の理化学性分析や土壌汚染分析、さらには客土・現況土分析の重要性について詳しく解説します。
土壌の理化学性分析とは
土壌の理化学性分析は、土壌の基本的な性質や成分を調査するための分析方法です。具体的には、土壌のpH、塩分濃度、有機物の含有量などを測定します。この土壌化学性分析を行うことで、土壌の肥沃度や作物の生育条件を知ることができます。
重金属やダイオキシンなどの土壌汚染分析
土壌汚染分析は、土壌中の有害物質の存在や濃度を調査するための分析方法です。特に、重金属やダイオキシンなどの有害物質は、人体や環境に悪影響を及ぼす可能性があるため、その濃度を正確に知ることは非常に重要です。水質分析や堆肥分析と併せて行うことで、土壌だけでなく、その周辺環境の汚染状況も把握することができます。
客土・現況土分析の重要性
客土・現況土分析は、土壌改良や土壌再生のための分析方法です。客土は、特定の目的に合わせて調整された土壌のことを指し、現況土はその土地の現在の土壌状態を指します。これらの分析を行うことで、土壌の改良や再生に必要な措置を計画的に行うことができます。
土壌分析受託業者の選び方
土壌分析は専門的な知識と技術を要するため、受託業者の選び方は非常に重要です。適切な業者を選ぶことで、正確かつ信頼性の高い分析結果を得ることができます。以下に、土壌分析受託業者の選び方に関するポイントを詳しく解説します。
業者の技術力と経験を確認する方法
業者の技術力や経験は、その業者の信頼性や分析の品質を示す重要な指標です。業者の公式ウェブサイトや資料を参照することで、過去の実績や取得している資格、使用している分析機器の情報などを確認することができます。
分析料金とその内容の確認
分析料金は、業者ごとに異なるため、事前に料金体系やその内容を確認することが重要です。また、分析の内容や範囲、追加料金が発生する可能性なども詳しく確認することで、後でトラブルになるリスクを避けることができます。
サンプル提供や対応速度の重要性
業者がサンプルを提供してくれるかどうかは、分析の品質を事前に確認するための有効な手段です。また、問い合わせや分析結果の提供の対応速度も、業者のサービスの質を示す指標となります。
土壌分析の料金について
土壌分析の価格・料金についてはこちらのページの一覧表をご覧ください。
土壌分析の受託事例
土壌分析の受託について、いくつかの実施例をご紹介します。
- 工場跡地や事業場跡地の土地売買や開発
- ガソリンスタンドやクリーニング店舗跡地の土地利用変更
- 有害物質を取り扱う施設(特定施設)の廃止や移転
- 都市開発や住宅建設に伴う土地の形質変更
- 工事などで発生した一定量の建設発生土や残土の移動・搬出・搬入(条例等で規定されている場合)
- 土壌表層に油膜が生じる、土地を掘削したところ産業廃棄物らしきものが埋設されていた、など土壌の汚染が疑われる事象が発生した場合