【土壌分析】溶出試験と含有試験の違いについて 含有試験 その1

前項では土壌分析における溶出試験について溶出試験の手順についてを解説しました。一方の含有試験について今回は解説します。

土壌分析における含有試験について

含有試験とは、検体に対象の(有害)物質がどれだけ含まれているか、を調べる試験となります。土壌分析の場合は溶出試験同様、検体=土壌という考え方になります。間接的な量を調べる溶出試験に比べると、より直接的に内包される物質について調べる試験といえます。

含有試験で何を行うか

含有試験においては、含まれている対象物質を取りこぼすことなく捕らえることが理想です。そのため対象検体を完全に液化(もしくは気化)し、その液(気体)を分析装置にかけることが望ましいと考えられます。しかし実際のところ、個体の検体を完全に液化(気化)できることは稀です。また形状を変化させる過程で対象物質が消失・変化する可能性もあるため、強力な作用を及ぼす処理は推奨されません。

したがって多くの含有試験では、対象物質をより抽出できるであろう溶媒を用いて、検体から対象物質を抽出するという方法を用います。

例えば、重金属の物質は、強酸にて溶ける性質のものが多いので、各金属に合わせた酸(塩酸や硝酸、硫酸など)を用い、既定の手順で検体と酸溶媒を反応させて、その酸溶媒を検液として分析します。

溶出試験では水を溶媒としているため、必ずしも内包している対象物質が水へ移るとは限りません。それに比べ含有試験では対象物質を抽出しやすい溶媒を利用するため、より内包している対象物質を捕捉することになります。そのため、同じ検体で同じ項目の溶出試験と含有試験を実施した場合、含有試験の結果の方が高い数値になる傾向にあります。

(実際には溶出試験と含有試験の結果の単位が違いますので、数値の大きさのみで有害かどうかの優劣を判断することはできませんが、見かけ上は含有試験の方が高い数値になることが多いと思われます。)

含有試験の目的

含有試験にて有害物質がどれだけ含まれているか調べることで、その土壌がどれだけ汚染されているか(汚染を広げる危険性があるか)を知ることができます。その他にも、有価な物質についてどれだけ含まれているかを調べることで、その土壌の価値を明らかにするという側面も持ちます。

例えば、作物を育成するのに必要な肥料成分の含有量について調べることで、その土壌が作物を育成するのに適しているのか・どの成分を足すことでより作物育成に適した土壌にすることができるか、などを明らかにできます。

このように含有試験は汚染の具合・影響調査に留まらない用途があります。そのため、目的に合わせた試験の方法が多数あり、土壌を対象とした含有試験も複数方法存在します。どの方法を採用するかで結果も変わるため、目的に合わせた適切な試験(分析)方法を選択することが重要となります。

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