【土壌分析】溶出試験と含有試験の違いについて 溶出試験その1

土壌の分析には主に溶出試験と含有試験がありますが、これらがどう違うのかという問合せをよくいただきます。同じ項目でも溶出と含有にそれぞれ基準値があることも少なくないため、混乱してしまうことにも頷けます。

実はそれぞれ違った目的があり、分析手順も異なります。溶出試験と含有試験について、数回に分けて解説していきます。

溶出試験の手順について含有試験についてはリンクからご確認ください。

土壌分析における溶出試験とは

溶出試験とは、検体から対象の(有害)物質がどれだけ水に溶け出すか、を調べる試験となります。土壌分析の場合は検体=土壌という考え方になります。水に溶け出す量をベースに基準値を定めている理由は、土壌の汚染の広がり方にあります。

ある土壌が何らかの有害物質を多く保有している場合、その土壌が移動・拡散することで、その有害物質の汚染が広がる可能性があります。ただ、土壌そのものが元の場所から多量に移動したり拡散したりすることは稀です。風や雨水で一部が移動することはあり得ますが、全体からすれば僅かな量であり、移動先の土壌の成分を変えうる量が移動する可能性は低いといえるでしょう。大きな地殻変動などの特殊なケースを除き、土壌自体の移動による汚染拡大のリスクは低いと考えられています。

では土壌の汚染はどうやって拡大していくのか、その答えは地下水となります。我々の生活している地表の下には、無数の地下水脈が広がっており、地下水が循環しています。その地下水が土壌と接触した際や、地下水となる雨水などの水が土壌を通過する際などに、その土壌から水へ有害物質が移ることがあります。もし大量の有害物質を含む土壌から、多くの有害物質が地下水に移ってしまった場合、地下水脈を通り、広い範囲に移動してしまう可能性があります。このように、土壌の汚染は地下水を媒介して広範囲に拡散する恐れがあるのです。

逆に考えますと、その土壌にどれだけ有害物質が含まれていようと、そこから水に移ることがなければ、地下水を媒介とした汚染拡散の危険性は低いといえます。そこで重要視されるようになったのが、「土壌から対象の有害物質がどれだけ水に溶け出すのか」という考え方になります。

なぜ水に溶け出す量というややこしい数値を利用するのか?と思われるかもしれませんが、上記のような理由から、土壌の環境基準では溶出量での基準値が定められています。

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