【土壌分析】法令の話:土壌汚染対策法 編 ①-土壌汚染対策法について

本コラムでも土壌分析周りの代表的な法令について触れていきます。今回は、土壌汚染対策法(土対法)について、2回に分けて取り上げます。

なお土対法準拠の分析が必要な場合は、「土壌汚染対策法(環告18・19号) 全項目検査」のページにて分析項目等を取り上げていますので、そちらをご確認ください。

【土壌分析.com】土壌汚染対策法(環告18・19号)全項目検査

土壌汚染対策法について

土壌汚染対策法(土対法)は平成14年成立の法律です。土対法制定以前にも土壌環境基準や農用地の汚染防止法令といった、土壌の安全性に関わる法令は存在していました。しかし、都市開発の進行や技術革新等を得て、土壌の汚染やそれを取り巻く環境も複雑化し、現行の法令では対応しきれない新しい事例も散見されるようになりました。そのため単に土壌の汚染を確認するのではなく、調査の方法や汚染が確認された場合の対応など、土壌汚染に関わる多くの事象を総括的に定める法令が必要とされ、制定されたのが土対法となります。

したがって弊社で請け負っているような土壌分析関係をはじめ、そもそもどのようなときに土壌調査を実施するのか、どのように調査するのか、調査する人(機関)は誰(どこ)なのか、汚染が確認された場合はどうするのか、それぞれの責任はどこにあるのか、など多くのことを規定しています。

土壌汚染対策法に基づく土壌調査について

土対法に基づく土壌調査は大まかに以下のような流れで進みます。

  • 土壌調査のきっかけ
  • 地歴調査
  • 汚染の度合いの策定及び土地の区画分け
  • 分析項目の選定・土壌のサンプリング
  • 土壌分析
  • 分析結果のとりまとめ、状況の報告
  • 汚染が確認された場合、その後の管理・監視

②地歴調査 以降は行政からの調査命令が出た場合に、土対法の指定調査機関が法令に則り、順次実施していくことになります。
したがって、自主調査の場合は②以降を全て完遂する義務はありませんので、調査実施者の判断にてどこまでをどのように実施するかを決めることになります。

① 土壌調査のきっかけ について

土壌の汚染についての調査のきっかけは様々あると思いますが、土対法に則り、都道府県知事より調査命令が出る場合があります。この場合、土地の所有者は土対法の指定調査機関に土壌調査を依頼し、その結果を都道府県知事へ報告しなければなりません。調査命令が出る案件は以下となります。

・有害物質使用特定施設の使用を廃止したとき (法令第3条 案件)

特定施設の廃止のみで、操業を続ける場合は免除の可能性もあります。建屋を取り壊し更地にするなど、土地そのものの形状を変える場合は調査が必須になる場合が多いようです。工場などを操業中の場合、その工場が特定施設の届け出をしているか等を調べることで、第3条案件の調査命令が出るかの予測をすることができます。

・一定規模以上の土地の形質の変更の届出の際に、土壌汚染のおそれがあると都道府県知事が認めるとき (法令第4条 案件)

3,000㎡以上(特定施設が設置されている土地の場合は900㎡以上)の土地の形質変更をする際には届け出が必要となりますが、その際に調査命令が出る可能性があります。形質変更する土地の広さによって、第4条案件の調査命令が出るか、ある程度予測することができます。

また土地の造成や盛土に関しては、各都道府県の条例等で独自に規制等をしている場合も多いため、土対法のみではなく、関連する条例等も把握しておく必要があります。

・土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事が認めるとき (法令第5条 案件)

第3条・第4条に該当しない場合で、都道府県知事が必要と判断する場合に調査命令が出ます。第5条案件の調査命令の理由はその案件ごとに異なりますので、事前に該当するかの予測ができるかは案件しだいとなります。

土対法の規定上、都道府県知事から調査命令が出る事例は以上の3パターンとなります。上記以外の調査は自主調査となりますが、自主調査にて土壌の汚染が確認された場合、土地所有者は都道府県知事へ区域指定の申請をすることもできます。

②~③ 土地の履歴調査と区画分け について

土壌調査ではまず、地歴調査を行い、土壌汚染のおそれの度合いを判定します。調査では対象の土地及びその周辺の土地について、過去の資料収集、関係者からの聴取、現地確認などの手段にて以下のようなことを調べます。

  • その土地の利用の状況
  • 特定有害物質の使用等の状況
  • 土壌又は地下水の特定有害物質による汚染の概況
  • その他の調査対象地における土壌の汚染のおそれを推定するために有効な情報

地歴調査の結果をもとに、調査対象の土地を土壌汚染のおそれの度合いによって、以下の3種類に区分します。

ア 土壌の汚染が存在するおそれがないと認められる土地

文字通り、汚染のおそれがほとんどないとされる区分です。特定施設の工場等であっても、特定有害物質を利用している施設・設備から全く独立している土地はこちらに分類されることもあります。例えば、緩衝緑地や従業員宿舎・駐車場、体育館、などが該当する可能性があります。

イ 土壌の汚染が存在するおそれが少ないと認められる土地

アと比べ、特定有害物質の使用や貯蔵等に関わる施設・設備から、その用途が完全に独立しているとは言い切れない土地はこちらに分類されることが多いです。例えば特定有害物質が使用されている施設・設備以外の作業場や事務所、事業用の通路や駐車場、資材置場や倉庫、などが該当する可能性があります。

ウ それ以外(ア及びイ以外)の土地 (土壌の汚染が存在するおそれが比較的多いと認められる土地)

土壌汚染の可能性が認められる区分です。以下のような土地が想定されます。

  • 特定有害物質又はそれらを含む個体や液体の、埋設等が行われた土地
  • 特定有害物質又はそれらを含む個体や液体の、使用や貯蔵等を行っていた施設等の敷地
  • 上記施設等を設置している土地、当該施設等とつながっている配管、それら配管とつながっている他の施設等及びその建物、当該施設等及びその関連施設等の排水管及び廃水処理施設

次に調査対象の土地を区画分けしていきます。この区画が分析用の検体を採取する際の単位となり、単位区画と呼ばれることもあります。単位区画の設定は、まず調査対象地の最北端(最北端が複数ある場合はそのうち最も東の地点)を起点として10mの格子状に土地を区画分けします。その後はア~ウの区分ごとに以下のように考え、採取点等を選定します。

・アの場合

基本的にアに該当する部分は土壌分析等の実施対象となりません。

・イの場合

イの区分の土地は、基本的に900㎡ごとの試料採取となるため、10m格子と同じ考え方で30m格子状に土地を区画分けし、採取点等を選定します。

・ウの場合

ウの区分の土地は、基本的に10m格子の単位区画ごとに試料採取となります。この10m×10mが土対法上の土地の区画分けの最小単位となりますが、配管等の形状から、この10m格子に則らずに採取点を決定する場合もあります。

以上のように土地の区画分けを実施し、分析試料となる土壌の採取点を選定し、採取・分析へ進みます。

最後に

今回は、土壌分析を行う上で最も代表的と言える法律、土壌汚染対策法についての一つ目の解説となります。
続きが完成し次第またコラムをアップさせていただきますので、ぜひご覧ください。

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